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SFについてと読書感想文

星を継ぐもの (創元SF文庫) 

SF(サイエンスフィクション)の中で、従来の科学的な常識ですんなり解決してしまう結末や、スケールだけデカくて、わかるでしょ?って感じでディテールがおざなりになる展開にがっかりすることがある。

同様に宇宙人が皆グレイのような姿形をしているとか、 私たちが考えられる範囲に留まったチープなイメージが氾濫しているのもつまらない。個人的には、人間が想像もつかないような全く新しい生き物のあり方や姿形をもっと想起させてほしい。

ただ、実証することを第一とする科学や、わかりやすさがウケる大衆文化の存在感は大きい。だから、もどかしい気持ちがする。

そこで話は冒頭に戻る。現実世界の研究ならまだしも、SFはフィクションという冠をとっているのにも関わらず、想像に難しくない安直な結末をとることが多いのは何故なんだ。作り話は現実と違って矛盾を孕むことを許されるからこそ、もっと大胆であってほしい。

 

「星を継ぐもの」を読み、そういった意味でとても良かった。

どこを読んでも科学者が未知に翻弄され、成果が何回も白紙に戻されていく様子は、この話がただの夢見がちなフィクションになるのを阻止していて、リアリティすらある。

例えば、ブラックジャックピノコの生い立ちって、完璧にフィクションなんだけど大真面目に描かれてるから、ああいう人間の作り方もあるのかな?と今でも思う。あれと同じで、真剣な大法螺を読んでいる感覚がとても気持ち良かった。

そして、人間がサルだった頃より前に息絶えた「人間と同じつくりの生き物」と「全く人間と違うつくりの生き物」の存在の対比も良かった。

前者は郷愁を、後者は畏怖を感じさせて、単なる宇宙人では終わらせないドラマ性があるし、SFの美味しい所を二つとも味わえてお得だった。

最後にこの話全体を通して、人間は既存の知識と問題解決欲求に縛られて、たくさんの「もしかしたら違うかもしれない」を無視することを選ぶけど、それは果たして正しいのか。ってことを考えさせられた。

現実でも、「もしかしたら…」を面倒くさがらないで掘り下げていくことはとても勇気が要る。でも知ろうとしないことより余程いいと思う。いつまでも、好奇心を忘れない人間でありたいですねぇ⤴︎


終わり